2007年08月02日(木) 記事No.123
たまには小説でも書いてみようかと。
どこにでもあるベタな始まり方です。
特にあんま何も考えずに書いてみたかな・・・
タイトル ・・・ カインドオブ
第一話『魔法研究部へようこそ!』
-1-
(・・・こんな部屋、うちの学校にあったっけ・・・・・・?)
彼、九竜 智也(きゅうりゅう ともや)の前に合ったのは『魔法研究部』と書かれたプレートのついた部屋だった。
魔法研究部と言うからには、きっと魔法の研究をする部であり、ここはその部室なのであろう。
そんな事は、彼にもすぐに思いついた。
が、認めることができないのだ。魔法の存在を。
(オカルト研究部とは違うのかな・・・?)
魔法なんてあるわけがない。あるわけがないのだから、まさか中で本当に魔法の研究が行われているはずはない。じゃあ、一体中では何をしているのだろうか。
彼は好奇心から、その場を動けないでいた。
その場・・・とはすなわち、ここ、北見高等学校第2校舎の2階、階段を上がってすぐの廊下だ。
彼はこの北見高等学校、通称北見高の1年生なのだ。
(そもそも、部活紹介の時だってこんな部の紹介あったっけ・・・?)
部活紹介が行われたのは、つい1ヶ月前、4月の半ばだ。
でもって今はその一ヵ月後、5月の半ば。ゴールデンウィーク明けのある日だ。
智也は、部活紹介の時のことを思い出そうとした。
が、よくよく考えると智也は部活紹介のとき、ぐっすりしっかり熟睡していたのだ。
覚えているはずがない。
(一体何をする部なんだろう・・・)
「あの、あなた、そんなところで何をしてるんですか?」
呆然と立っている智也の後ろから、声をかけるものが現われた。
「わぁ!」
突然のことだったので、智也は驚き、飛び退くように一歩前進した。
いや、すでに智也は振り返っていたので、後進と書いた方がいいか。
「ご、ごめんなさい!驚かすつもりはなかったんです。」
女性だった。しかも、美人の。
「あ、いや、こっちこそごめん。急に飛びのいたりして。いきなりだったもんだから・・・」
智也の方も、慌てて無礼を詫びた。
「それで、こんな廊下の真中で立ち止まって、何をしてたんですか?」
彼女は、最初にした質問と同じ質問をした。
「あ、あぁそうだ。この部、何をする部か分かる?」
そう言って、智也は『魔法研究部』と書かれたプレートを指差した。
彼女の方も、その指の先を見る。
そして・・・
「あなた!このプレート、読めるんですね!!この部屋が見えるんですね!!
乙川先生が言ってたもう1人の一年生ってあなただったんですね!!」
すぐに彼女は智也の方を向き急に喜びだした。
そんな彼女の変化に、智也は再び半歩下がろうとしたが、なんとか思いとどまる。
一体彼女が何をそんなに喜んでるのか、わけが分からない。
これくらいの漢字、誰でも読めるだろう。もしかして、馬鹿にされてるのか?
智也がそう思いかけてたとき、彼女に腕を捕まれた。
「え?」
こんなに短時間で、こんなに連続して驚いたのは初めてだ。
彼は3度目の驚きと共に、今度は彼の意思とは関係なく、歩を進めることとなる。
「私と一緒に来て下さい!」
言うが早いか、彼女は智也の手を取ってその教室の戸を開けた。
「鈴花ちゃ~ん!」
そんな叫び声と共に。
中には、少し暗い顔のおかっぱ頭の少女が1人、椅子に座っていた。おそらく彼女が鈴花ちゃんなのだろう。
部屋は、一件普通の教室だった。
智也の前方には、教卓がひとつ。そして右手に伸びる椅子と机の列。
そのほとんどの椅子と机が、左向き。つまり教卓の方を向いていたが、そのうちの一組が不自然にこちらを向いていた。
おかっぱ頭の少女が座っている席だ。
少女は、智也が入ってきたのを確認すると、机の中に手を入れ、一枚のプリントを取り出した。
それを机の上へと置くと、一瞬そのプリントが出したかったプリントかどうかを確認した後、彼女は手招きした。
(露骨に怪しすぎんぞ・・・あいつからただならぬオーラが出てる気がする。)
そう思ったのは、彼女がおかっぱ頭だったからではない。
なんと言うか・・・雰囲気が暗いのだ。
暗いオーラが出ているというか・・・
ガチャリ。
そのとき、智也の後ろでいやーな音がした。
「って何で鍵かけてんの!」
気づくと、智也を引っ張って部屋へと連れ込んだ少女は、いつのまにか智也の後ろへと周り、部屋の鍵をかけていた。
「あ、安全のためですよ。深い意味はないです。」
(安全のためなら、開けておいてくれ・・・。ここはとても危険だと、オレの第六感が告げている・・・)
後ろには、鍵のかかったドアと美人少女
目の前には、怪しい雰囲気全快の手招きするおかっぱ少女
(す、進むしかないのかよ・・・)
仕方なく智也は、おかっぱ少女の元へと歩み寄った。
少女は、手招きをやめると、プリントを智也の方へと滑らせた。
「名前、書いて。」
一言だけ、小さな声で少女はそう言った。
そのプリントには、なにやら文章がごちゃごちゃ書いてあって、その下に名前を書く欄がある。
(なんだか知らないけど、ここに名前書いたら、帰してくれんのかな・・・)
そう思いつつ、文章に目を通す。
「これ、入部届じゃねぇか!」
智也が受け取った紙には、シンプルにこう書かれていた。
『魔法研究部 入部届 入部を希望するものは□に名前を記入し担当のものへ提出すること。』
「魔法、使いたくない?」
おかっぱ少女が、少し上目遣いで、聞いてきた。
「そ、そりゃあ使えるなら使いたいけどよ、使えるわけないだろ?魔法なんて。」
そう言い放った直後だった。
それが失言だと気づいたのは。
とたんに目の色を変える目の前の少女。
もし、現実世界に効果音が存在していたならば、確実にその目は『キラン』っという音を発していただろう。
(や、やば・・・)
殺気にも似た気配を感じた智也は、その少女から逃げようと、慌てて後ろを振り返る。
が、そこにも『キラン』はいた。
ドアに張り付いたまま、こちらをにらんでいるもう1人の少女が・・・。
「す、すみませんすみません!書きます!名前でもなんでも書きますから許してください!」
智也はそう言うと、慌てて正面を向き、その入部届にサインをした。
(た、確か脅迫を受けての契約行為は、む、無効になるよな・・・?)
そんなことを考えつつ。サインしたペンを、机の上に置くと、
「契約、成立。」
(え?)
おかっぱの少女が、そう言った。
それと、ほぼ同時だった。
突然にして、智也の足元が光り始めた。光は徐々に輝きをまし、やがて円柱の光の柱となる。
「お、おわ!なんだ!」
もはや、驚きを通り越してパニックだ。
パニック状態の智也に、光を発している床が、魔方陣になっている事など気づくはずがない。
光は智也自身を包み、智也はまぶしさで目を開いていられなくなった。
そして全身を包み終わると、今度はどんどん薄れていった。
智也は目を開けた。
そして・・・おそらく今日一日のうち、この瞬間が一番驚いただろう。
さっきまで二人しかいなかった教室に、十数人の生徒。
その生徒達が口をそろえて、こう言ったのだ。
『魔法研究部へようこそ!』
そして、その直後、その声にも負けない大きさで、智也は叫んだ。
「え?え?えぇぇぇぇ!?」
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どこにでもあるベタな始まり方です。
特にあんま何も考えずに書いてみたかな・・・
第一話『魔法研究部へようこそ!』
-1-
(・・・こんな部屋、うちの学校にあったっけ・・・・・・?)
彼、九竜 智也(きゅうりゅう ともや)の前に合ったのは『魔法研究部』と書かれたプレートのついた部屋だった。
魔法研究部と言うからには、きっと魔法の研究をする部であり、ここはその部室なのであろう。
そんな事は、彼にもすぐに思いついた。
が、認めることができないのだ。魔法の存在を。
(オカルト研究部とは違うのかな・・・?)
魔法なんてあるわけがない。あるわけがないのだから、まさか中で本当に魔法の研究が行われているはずはない。じゃあ、一体中では何をしているのだろうか。
彼は好奇心から、その場を動けないでいた。
その場・・・とはすなわち、ここ、北見高等学校第2校舎の2階、階段を上がってすぐの廊下だ。
彼はこの北見高等学校、通称北見高の1年生なのだ。
(そもそも、部活紹介の時だってこんな部の紹介あったっけ・・・?)
部活紹介が行われたのは、つい1ヶ月前、4月の半ばだ。
でもって今はその一ヵ月後、5月の半ば。ゴールデンウィーク明けのある日だ。
智也は、部活紹介の時のことを思い出そうとした。
が、よくよく考えると智也は部活紹介のとき、ぐっすりしっかり熟睡していたのだ。
覚えているはずがない。
(一体何をする部なんだろう・・・)
「あの、あなた、そんなところで何をしてるんですか?」
呆然と立っている智也の後ろから、声をかけるものが現われた。
「わぁ!」
突然のことだったので、智也は驚き、飛び退くように一歩前進した。
いや、すでに智也は振り返っていたので、後進と書いた方がいいか。
「ご、ごめんなさい!驚かすつもりはなかったんです。」
女性だった。しかも、美人の。
「あ、いや、こっちこそごめん。急に飛びのいたりして。いきなりだったもんだから・・・」
智也の方も、慌てて無礼を詫びた。
「それで、こんな廊下の真中で立ち止まって、何をしてたんですか?」
彼女は、最初にした質問と同じ質問をした。
「あ、あぁそうだ。この部、何をする部か分かる?」
そう言って、智也は『魔法研究部』と書かれたプレートを指差した。
彼女の方も、その指の先を見る。
そして・・・
「あなた!このプレート、読めるんですね!!この部屋が見えるんですね!!
乙川先生が言ってたもう1人の一年生ってあなただったんですね!!」
すぐに彼女は智也の方を向き急に喜びだした。
そんな彼女の変化に、智也は再び半歩下がろうとしたが、なんとか思いとどまる。
一体彼女が何をそんなに喜んでるのか、わけが分からない。
これくらいの漢字、誰でも読めるだろう。もしかして、馬鹿にされてるのか?
智也がそう思いかけてたとき、彼女に腕を捕まれた。
「え?」
こんなに短時間で、こんなに連続して驚いたのは初めてだ。
彼は3度目の驚きと共に、今度は彼の意思とは関係なく、歩を進めることとなる。
「私と一緒に来て下さい!」
言うが早いか、彼女は智也の手を取ってその教室の戸を開けた。
「鈴花ちゃ~ん!」
そんな叫び声と共に。
中には、少し暗い顔のおかっぱ頭の少女が1人、椅子に座っていた。おそらく彼女が鈴花ちゃんなのだろう。
部屋は、一件普通の教室だった。
智也の前方には、教卓がひとつ。そして右手に伸びる椅子と机の列。
そのほとんどの椅子と机が、左向き。つまり教卓の方を向いていたが、そのうちの一組が不自然にこちらを向いていた。
おかっぱ頭の少女が座っている席だ。
少女は、智也が入ってきたのを確認すると、机の中に手を入れ、一枚のプリントを取り出した。
それを机の上へと置くと、一瞬そのプリントが出したかったプリントかどうかを確認した後、彼女は手招きした。
(露骨に怪しすぎんぞ・・・あいつからただならぬオーラが出てる気がする。)
そう思ったのは、彼女がおかっぱ頭だったからではない。
なんと言うか・・・雰囲気が暗いのだ。
暗いオーラが出ているというか・・・
ガチャリ。
そのとき、智也の後ろでいやーな音がした。
「って何で鍵かけてんの!」
気づくと、智也を引っ張って部屋へと連れ込んだ少女は、いつのまにか智也の後ろへと周り、部屋の鍵をかけていた。
「あ、安全のためですよ。深い意味はないです。」
(安全のためなら、開けておいてくれ・・・。ここはとても危険だと、オレの第六感が告げている・・・)
後ろには、鍵のかかったドアと美人少女
目の前には、怪しい雰囲気全快の手招きするおかっぱ少女
(す、進むしかないのかよ・・・)
仕方なく智也は、おかっぱ少女の元へと歩み寄った。
少女は、手招きをやめると、プリントを智也の方へと滑らせた。
「名前、書いて。」
一言だけ、小さな声で少女はそう言った。
そのプリントには、なにやら文章がごちゃごちゃ書いてあって、その下に名前を書く欄がある。
(なんだか知らないけど、ここに名前書いたら、帰してくれんのかな・・・)
そう思いつつ、文章に目を通す。
「これ、入部届じゃねぇか!」
智也が受け取った紙には、シンプルにこう書かれていた。
『魔法研究部 入部届 入部を希望するものは□に名前を記入し担当のものへ提出すること。』
「魔法、使いたくない?」
おかっぱ少女が、少し上目遣いで、聞いてきた。
「そ、そりゃあ使えるなら使いたいけどよ、使えるわけないだろ?魔法なんて。」
そう言い放った直後だった。
それが失言だと気づいたのは。
とたんに目の色を変える目の前の少女。
もし、現実世界に効果音が存在していたならば、確実にその目は『キラン』っという音を発していただろう。
(や、やば・・・)
殺気にも似た気配を感じた智也は、その少女から逃げようと、慌てて後ろを振り返る。
が、そこにも『キラン』はいた。
ドアに張り付いたまま、こちらをにらんでいるもう1人の少女が・・・。
「す、すみませんすみません!書きます!名前でもなんでも書きますから許してください!」
智也はそう言うと、慌てて正面を向き、その入部届にサインをした。
(た、確か脅迫を受けての契約行為は、む、無効になるよな・・・?)
そんなことを考えつつ。サインしたペンを、机の上に置くと、
「契約、成立。」
(え?)
おかっぱの少女が、そう言った。
それと、ほぼ同時だった。
突然にして、智也の足元が光り始めた。光は徐々に輝きをまし、やがて円柱の光の柱となる。
「お、おわ!なんだ!」
もはや、驚きを通り越してパニックだ。
パニック状態の智也に、光を発している床が、魔方陣になっている事など気づくはずがない。
光は智也自身を包み、智也はまぶしさで目を開いていられなくなった。
そして全身を包み終わると、今度はどんどん薄れていった。
智也は目を開けた。
そして・・・おそらく今日一日のうち、この瞬間が一番驚いただろう。
さっきまで二人しかいなかった教室に、十数人の生徒。
その生徒達が口をそろえて、こう言ったのだ。
『魔法研究部へようこそ!』
そして、その直後、その声にも負けない大きさで、智也は叫んだ。
「え?え?えぇぇぇぇ!?」
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